2017年3月14日火曜日

チリ・ビールとポピュリズム

そろそろ梅の香りにも驚かなくなった先週末、風はやや冷たかったものの、暖かな陽差しの下、近所のスーパーへ買い物に行ったら、こんなのを見つけて、思わず買ってしまった。チリ・ビール(メキシコ産)。早速飲んでみると、青唐辛子の爽やかな香りと味。ラベルに「Very Hot」とあるように、ちゃんと辛い。ビール自体は、コロナビールのような、軽ーいソフトドリンク のような味。「うまいビール」という感じではないものの、強い陽差しの中、グビッと飲むとうまいのかも知れない。ベトナムもそうだけど、総じて暑い地域 は、こうした軽いビールが好まれるようだ。カミさんにすすめたら、一口飲んで「これ、うまくない」とやや不機嫌な様子。

驚いたことに、グラスに注ぐと、青唐辛子が一本、丸のまんま出てきた。ボトル裏のラベルを見ると。
原材料欄に、「唐辛子」とちゃんと載ってる。あと「コーンスターチ」、「スピリッツ(大麦)」ともある。春になって、ずいぶん緩んできたとはいえ、このビールをおいしく飲むには、まだまだ暑さが足りないようだ。所変われば品変わる。メキシコの風土の人たちはこういったビールがお好みなのだろう。

ところで、こないだ、車を運転してて、信号で停まったとき、前に停まっている車の後ろに、こんなステッカーが貼ってあるのにちょっと驚き、思わず写真を撮った。
「TRUMP MAKE AMERICA GREAT AGAIN!」。
「へぇー、日本人でも、こんなステッカー貼る人がいるんだー」と驚いたのだけど、後から考えてみると、それは私の思い込み(誤解)で、実はこの車の所有者は、米国人だったかもしれない。その上に貼られた「HONK FOR HOOTERS」も米国っぽいし、近くに横田基地もある。

去年の英国のEU離脱の国民投票と米国のトランプ氏当選について、「ポピュリズムの台頭」なんて言葉をよく耳にする。きっとこのメキシコのビールも、メキシコの人たちのポピュリズムによって支持されているからこそ、メキシコでは大量生産・大量消費されていて、その果てにこうして太平洋を渡って来たのだとも思う。

ビールの銘柄と一国の大統領を一緒にする訳にはいかないが、大衆に支持されているという共通点はある。その共通点は、「何がおいしい」とか「何が正しい」といった決まり事はない世界だ。しかし、グルメの人たちは「こういうのがおいしい」と決めたがるし、インテリの人たちは「こういうのが正しい」と決めたがる。そして、大衆は何かを支持する。それら全ては、自由だ。

世界中にネットが普及した昨今、言葉は瞬く間に地球上を駆け回る。言葉が伝わっていくのにもっともっと時間を要した昔は、その時間と空間(場所)の間に、言葉が淘汰され、生き残った言葉だけが伝わっていったように思う。誤解や間違えをしない人間はいないから、その滞空時間が言葉を洗練していたのだと思う。それもその頃のポピュリズムの表れだ。

ずいぶん前だけど、日本の真夏に海水浴へ行ったとき、海の家が今どきのカフェ風になっていて、そこでライムをビンに突っ込んで飲んだコロナ・ビールはうまかった記憶がある。そのとき店員さんに、「これがコロナビールの正しい飲み方です」と教わった記憶もあるんだけど。

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