2016年4月12日火曜日

ベトナムのおじいちゃんの杖

先月、ベトナムへ出張した際、サイゴン(ホーチミン市)の知人宅に行った。彼は、以前下記のエントリでも書いた、私のココナッツの先生でもある。

●ココナツジュース、ベンチェー流 (2013年1月26日)

上記エントリにもあるとおり、その知人はベンチェーというココナツで有名な町の出身。それはこのエントリでは関係ないのだが、今回、私と同い年ぐらいの彼の父親と会う機会があった。その父親は、その日ベンチェーからホーチミンにやってきていた。「あ〜、(長い間バスに乗って)疲れたー」と椅子に腰掛けていたが、脇にあった杖が私の目に留まった。このおじいちゃんお手製の杖である。

私は、こーゆーのが滅法好きだ。

こんな小さな写真では、ディテールがよく分からないので、下の寄った写真を見て頂きたい。
これが取っ手。杖を持つところ。水道屋さんが使う水道管の継ぎ手だ。いわゆる「エルボー」と呼ばれるL字型のヤツ。これを本体の竹に固定するために、向こうとこっち2箇所を木ねじでとめてある。エルボーには、最初にキリのようなもので穴を開けた後、木ねじでとめたのだろう。そして、ポカンとあいてるエルボーの穴には、プラスチック製のビンの蓋のようなもので塞いである。廃物利用のお手本のようなものだ。これで手の平への負担が少なくなる。次に、杖が地面を突くところ。

オートバイのグリップだ。すばらしい。ご存じの方も多いと思うが、ベトナムでは、オートバイがたーくさん走っています。さらに下の写真。
竹の節の部分を削ってある。実に仕事が丁寧で、このおじいちゃんの性格を物語っているようだ。

以前、下記のエントリで書いたことがある。

●ドブロクのススメ(2014年1月30日)

その一部を引用する。

現代は、何でも「買う」ことが当たり前になってますね。便利って言えば便利だけれど、本当は、「自分で作る」がまずありきで、「自分で作れないもの」を「買う」ということだと思う。

この杖は、これがそのまま体現されている。
私のそのエントリでは、ドブロクについてだが、「自分で作る」がまずありき、には何ら変わりない。

言うまでもないが、私がこのおじいちゃんの杖を絶賛しても、おじいちゃんは表情ひとつ変えやしない。当たり前なのだ。そこに「カッコいい」という陳腐な言葉では言い表し切れないものがある。

これがベトナムの底力なような気がしてならない。

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