2013年9月27日金曜日

パルミジャーノ・レッジャーノの手土産


先月、イタリアから古い友だち夫婦が日本に観光に来た。先のエントリ、築地のマグロの競りもその観光の一貫で、同行したのだが、一緒に京都、奈良にも小旅行に行った。

さて、上の写真は、彼らが手土産に持ってきたくれた、パルミジャーノ・レッジャーノ。24ヶ月もの。うまい。文句なくうまい。この2年もの熟成を経た味と香りは独特だ。

写真の状態は放射線状に薄めに一切れ切った後で、もらったままは8分の1だった。手土産にしてはやけにデカイし重いので、計ってみたら4キロ。これにワイン、グラッパ、ビール、カカオ豆のロースト。うちのカミさんにはフェラガモのスカーフ等々。これをウチだけでなく、もう一家族分なので、全部で2倍をトランクに入れて持ってきた。有り難いのはもちろんながら、その気合いに圧倒された。半年前から、日本を楽しんでもらおうと、私はいろいろ画策したので、そのお礼を兼ねている。

うちの9歳の娘いわく、「パパのお友だちの中で一番のお金持ちだね」。
飲みかけたビールを思わず吹き出した。そーかも知れない。

およそ30年ぶりの再会だった。お互い歳はとったが、時間を一緒に過ごすと、相変わらず。何となく、お互いぐるっと一周して再会した気分になった。

ところで、イタリアが誇るこのパルミジャーノ・レッジャーノの使い方・保存法などを、彼らが説明してくれたので、それを少し。

「まず、チーズというものは(パルミジャーノ・レッジャーノに限らず)、丸い状態で買わねばならない。なぜなら、チーズの一番おいしいところは、その中心部にあるからだ。四角くカットされたチーズは、中心部をはずした外側あたりをカットしたものがほとんど。だからオレらは丸のまんまか、このように放射線状にカットされたものしか買わないんだ」

(私)「へぇ〜」

次に保存法と使い方。

「まず家に持って帰ったら、湿らせたタオルに包んだあと、ポリ袋に入れ、冷蔵庫で保存すること。この状態は、まだナイフで切りやすい。その状態がしばらくはキープできる」

「パルミジャーノ・レッジャーノの食べ方は主に2通り。一つは、カットして食べる。そのまま食べることはもちろん、カットしたそのままをパンにのせたり、それをオーブンで焼いたりもあるだろう。もう一つは、あえてコチコチに乾燥させてから、おろし金でパウダー状にすること。パスタなんかには最高だ。そして、外側の黄色いところも食べられるから絶対に捨てるなよ。また、表面にカビが生えてもナイフで削ったりしないで、乾いたタオルでそおっと拭いて食べればいい。カットしたらもったいない」

(私)「よーし、じゃあ一番おいしい中心部から切って食べる。半分以上食べて外側部分になってきたら、冷蔵庫から出して放置。乾いてきて硬くなったところで、今度はおろし金でおろして、パウダー状にしてパスタなど料理に使ったるわ」

「それでいい」

現在のところ、チビチビカットして主にそのまま食べてるところだが、2年熟成したパルミジャーノ・レッジャーノ。その旨味には、独特の強さと包み込むようなやさしさがある。半分食べて乾燥の予定だけど、果たして日本の湿度に耐えられるかな。冬場の東京なら大丈夫か。様子を見ながらだなー。

パルミジャーノ・レッジャーノ。何か、ひと財産が冷蔵庫に入ってるような気分になった。

2013年9月19日木曜日

築地・マグロの競り見学


一回飛んじゃったけど、8月29日のエントリ(マグロの競り見学は何時に行くか?)の続きです。8月に、築地のマグロの競りの見学に行った話。

そのエントリでも書いたとおり、朝3時半に市場に着き、2時間待合室で待った後の5時半、ガードマンさんたちの引率によりいよいよ見学が始まった。ほとんどの見学者が外国人なので、待っている間や見学スタートの際に、ガードマンさんたちに言われる注意事項は全て英語。「写真はいいが、フラッシュは禁止」とか、「通ってもいい場所は限られている。それ以外は立ち入り禁止」など諸々の注意事項が何度かにわたって言い渡されたが、毎度最後のフレーズ(または決め台詞)は決まっていて、少しの笑顔と共に「And enjoy.」。見学者の人たちはほとんど気にしてなかったみたいだけど、私にとっては、それは噺家さんの「お後がよろしいようで・・・・」みたいな感じがして、忘れられない。まぁ、さんざんうるさく注意事を言ってるけど、本当は「楽しんでね〜」と思ってるんだよ、いう感じが私には伝わってきた。

思えば、何年か前までは、「見学者が競りや市場で働く人たちの邪魔になって問題になってる」というニュースを耳にしたことがあった。その後、こうして見学がシステム化されたという経緯があるから、それら注意事にうるさくなるのは自然のなりゆきでもある。

さて、マグロが並んだ競り会場に着くと、当然のことながら、冷凍室だった。8月という暑い時期には心地よい。そうだな、150〜200尾ぐらいの大小のマグロが、10〜20尾ぐらいの各店のグループ別に行儀よく並んでいた。各グループの近くの柱にはお店の名前が貼ってある。サイズは、平均150センチ、デカイので2メートル以上といったところか。

メモ帳とペンを持った仲買人は、輪切りになってるマグロの尻尾部分の肉を、「尖った金属がついた道具」(下写真参照)でかき出し、それを手の平で何度もクチョクチョ握ってはその様子を見たりしている。これで脂のノリ方などが分かるのだろう。仲買人同士はすれ違いがてらに二言三言会話をしたり、次々とマグロを品定めしながらメモっている。全てのマグロにはでっかく番号が書かれている。

一番手前の人が細い鎌のような「尖った金属がついた道具」を持ってます
私たち見学者は指定された場所で10分ほど様子を眺めていると、お店の前で踏み台にのった競り人(?)が、手持ちの鐘をガランガラン鳴らす。この店の競りが始まりますよの合図だ。それは競り独特の発声法だが、日本人なら一度は聞いたことがある市場声だ。発声法は独特だが、何を叫んでいるかと言うと、ほとんどが数字だ。つまり、今、何番のマグロの競りを始めているか。そして、仲買人は、寡黙に片手を挙げて、その指で1から9までの数字で値段を示す。人差し指一本で「1」などだが、「6」は親指だけ(thumb up状態)になったりなど、決まり事がある。ただ、「一桁だけで、分かるのか?」という疑問が湧く。でも、相場を熟知している間柄で、「桁を間違えることは絶対ない。一桁で十分わかる」らしい。つまり、10万円と100万円を誤解するようなことはない、ということだ。しかし、120万円ということはないのだろうか。それは 「2」になるのかな。分からない。

仲買人から値段の提示があると、競り人の叫ぶ番号は、マグロの番号からその値段へと変わる。そしてそれ以上の値段を示す者がいれば、更新された値段を叫ぶ。しばらくいなければ、それで落札。次の番号のマグロの競りが始まる。

その様子は、以下の動画で。


30分ほどの見学が終わると、その冷凍室を出て、市場の中を通り、最初に見学の受付をしたあたりまで、戻ることとなったが、このあたりで気がついた。全員が男性ではないか。市場の中には見事に女性が一人もいない。築地では常識なのかも知れないが、ここは男だけの仕事場なのだ。

今回は、イタリアから日本に観光に来た友だちのリクエストによって、このマグロの競り見学をした。なぜか外国人の評判はすこぶる高い。そのイタリア人に「何が面白かった?」ときくと、「競りの雰囲気やあの声(発声法)だよ〜。独特だね」と答えた。私はそれ以上突っ込んできく気も起こらず、慣れない早起きにボォーっとしながら、場外へ向かって一緒に歩き始めた。「さっ、朝飯は何食おうかな」。

2013年9月3日火曜日

四つ股のネコジャラシ


このエントリは、前のエントリ、マグロの競りの続きと思っていたが、昨日の夕方、ちょっとしたことがあったので、それを先に。

帰宅した私の車の音を聞くと、9歳の娘は大きな声を出して走り寄ってきた。

「ねぇー、ねぇー、スゴイもの見つけたよ! 何だかわかる?」
「それだけじゃ、分からないよ」

後ろ手に持ってたものを前に出す。

「ジャ〜ン」
四つ股のネコジャラシだった。

「へぇ〜、珍しいねぇ〜。どこで見つけたの?」
と言いながら、私は実は変な気分。

「うちの庭だよ。今車が停まっているところのすぐ後ろぐらい」
と指を差す。

この四つ叉のネコジャラシを見てすぐに連想したのは、スリーマイル島だったか、チェルノブイリだったかで撮られた二叉のタンポポの写真。その写真のカメラマンの意図は、「これこそ放射能の影響」だったが、昔のことだし、写真を見ただけだから、その二叉が本当に放射能の影響だったか否かは定かでない。

また、「スゴイもの見つけた」と満面の笑顔で喜んでいる娘の表情と、私の心情のコントラストに、やや嫌な感じが残った。

早速、ネットで検索・・・・。

・・・・ありました。

「二股以上のエノコログサ」というサイト。
(ネコジャラシ、正式にはエノコログサというらしい)
きれいな四つ股の写真まで載せてくれている。
撮影は、「2007年」8月とある。
あーよかった。今夜もグッスリ眠れそう。