2013年6月20日木曜日

オート・アイドリングストップの恐怖


我が愛車は、ホンダ・モビリオ(2003年式)。
先日、修理があり、代車でホンダ・フィットのハイブリッド車をホンダのディーラーから渡された。ちょうどそのとき、(東京から)長野まで一泊で行く用事があり、慣れないハイブリッド車で、初めて長距離を運転することになった。

ちょっとワクワクぅ〜♪

フィットと言えば、ハイブリッド以前から燃費のいい車という印象があったから、燃費はどんなもんだろう? というのが最大の関心事。あとは、その燃費での車の走りはどんなんかなー、と思いながら運転を始めた。

走りは、思ったよりいい。早い。加速もいいし、ステアリングも滑らかかつ反応もいい。しかし実際に乗ってみて一番驚いたのは、停車するとエンジンが自動で止まることだった。そして、発進の際、ちょっとアクセルを踏むとエンジンがすぐにかかる。まーこれだけ町にはハイブリッド車が走っているのだから、「そんなの常識」なんだろうけど、私にとって、信号待ちでエンジンが止まっての静けさは、「あっ、再びエンジンかかるかな」という恐怖にも似た不安をよぎらせるのだ。

30年ほど前。私は、スズキ自動車の雑用のアルバイトをしていた。ある日、そこの修理工の人に頼まれて、古い軽自動車を引き取りに電車で行き、勤務先の江東区までその車で帰る、という仕事があった。

それは忘れもしない、九段にある大妻女子大際の交差点。片側一車線(両側で二車線)の道路の交差点だが、昔から歩道もあって、東京で運転する方にはご存じの方も多いと思う道。靖国通りの方から坂を下ってきた。信号が赤になり、信号待ちの先頭で停まった。少しすると、なぜか古い車のうるさいエンジン音が突然止まり、静かになった。「えっ?」。たしかセルボ(クーペタイプ)の当時で10〜15年ぐらい前の型。カッコいいのだが、何せ古い。もちろん、キーをまわしセルをかけようするがウンともスンとも言わない。信号は青に変わった。後ろの車からはクラクション鳴らされるし、私はどうしていいか分からないし、しかもちょうど午後の学校がひけた時間だったから、群がって歩いている女子大生はみんな足を止め「どーしたんだ?」と、私の車はいぶかしげな視線に囲まれた。もー、パニック。

とにかく、後ろの車には、私の車がエンコしていることを知らせなきゃならない。まずは外に出て、頭を下げながらの交通整理だ。ひとしきりしたところで、エンコした車のギアをニュートラルにして、運転席のドアを開け、ハンドル持って押した。何度か切り返して、歩道に沿って、なんとか駐車し、やっと一息。「あー、しんどー」。よりによって、何でこんなところで・・・・。

当時はもちろん携帯電話などない。公衆電話を探し、バイト先の修理工の人に電話した。今どきなら、携帯片手に・・・・といったところだろうが、「まずは(後ろ置きの)エンジンを見て見ろ」と言われても、公衆電話からはエンジンが見えないし、「えー、エンジン後ろなの?」ぐらいの私だったから、エンジンだけ見てもサッパリ分からない。もちろん動揺もしている。結局、工場長に来てもらうことになった。

当時二十歳ぐらいのお年頃の私だから、多くの女子大生が行き来する中で心細ーく車の横で待った時間は長かった。たぶん40〜50分後だったろう、工場長到着。早速みてもらうと、ヒューズをとめてたビスが緩んでいて取れかかっていた。たったそれだけだった。ヒューズっつったって、太さ2ミリぐらいの剥き出しの線。当時の私にとっても骨董的ヒューズだ。「コイツが原因かー」と見つめた変に傾いてたヒューズの画像は今でも私の脳裏に焼き付いている。工場長は、ドライバー1本で緩んでるビスをとめると、エンジンはいとも簡単にかかり、マフラーからはやや濃くなった煙が巻き上がった。

「大変だったな」、工場長がねぎらってくれた。
私は、「こんな車をバイトに運転させないでくれよ」と心の中でつぶやいた。
でも、ヒューズが緩んでたぐらい、気がつかなきゃいけなかったのか。えー、そんなの思いも寄らなかった。

さて、フィット・ハイブリッドに話を戻そう。

信号待ちで、エンジンがオートで止まり、車内に静けさがたちこめると、私は怖くなるのだ。もちろん、それでエンジンがかからなくなることはなかろう。しかし、そのとき私の脳裏には、30年前の大妻の交差点がよぎるのだ。

私が変わらなくては・・・・。
車が、時代が変わったのだから・・・・。

結果的に、代車のフィット・ハイブリッドを数時間、二日間運転することで、私はトラウマを克服するトレーニングを積むこととなった。

あー、燃費のこと書こうと思ってたのに、すっかり脱線してしまった。それはまた改めて。

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