2012年11月5日月曜日

時代と喫茶店

先日、東京の経堂で、駅前の喫茶店に入った。常連客らしいオジさんたちが新聞広げて読んでたりの、昭和にあったような喫茶店。カウンター席に座った。窓に面したカウンターではない。カウンター越しのすぐ目の前で、次々とサイフォンでコーヒーを入れるのをじぃーっと見ることが出来るカウンターだ。5〜6個並んだサイフォン。湯が沸き上がっていくゆっくりとした様、そして同時に、サイフォンにコーヒーの粉を入れたり洗ったりカップに注いだりの手際よさの様が好対照。あ〜、こーゆーのはいつまでも眺めてられる。

さて、そのサイフォンから目を離すと、ちょうど私の正面にある棚が目に留まった。

DOUTOR COFFEE

と印刷された缶。どこにでもあるドトールコーヒーとロゴが違うなー。それに明らかに使い込まれている。座っているのはカウンター、目の前にコーヒー入れてる人がいる。コーヒー入れるのが一段落したところで、声をかけてみた。

「ねぇ、あのドトールって書いてある缶、そのへんのドトールと違うね。古そうにも見えるけど、何なの?」

「あっ、あれはですねー、最初にドトールが日本に来た頃の缶らしいです。30年ぐらい前は、あの缶を使ってたみたいで・・・・」

30歳ぐらいの若い彼は続けた。

「ドトールが最初に日本に来た頃から、この(喫茶店経営の)会社はドトールと関係があったみたいで。そこにもあるとおり、普通のドトールも経営しているんですよ」

と、私の手元にある、数店舗の喫茶店の名前が印刷された伝票の裏面を指さした。2軒ほど普通のドトールのロゴがあった。つまりこの喫茶店を経営している会社は、数店舗の喫茶店を経営しており、その中の2つはドトールコーヒーだった。

「でもまぁ、こうしてこんな話をお店の人と、普通のドトールじゃとても出来ないね」

「ええ、ドトールでは、(コーヒー入れる)カウンターには席を作らない決まりがあるみたいで・・・・」

つまり、ドトールの店の作りは、客とコーヒーを入れる店員が話をするようになっていない。最後に、棚の缶の写真を撮る許可を得て、携帯で撮らせてもらった。

大きく見れば、ドトール上陸以来、お店の人と気さくに話せる喫茶店は激減した。ドトールの波に呑まれ、昔ながらの喫茶店がどんどん潰れていったと単純に思っていた。もちろんそれは否めないが、細かく見れば、喫茶店経営の会社の中には、フランチャイズのドトールの衣を借りながら、昔ながらの喫茶店を続けている人たちもいる。勝手な想像だけど、自分のやりたい喫茶店を続けるために、ドトールの衣を借りているような気がした。

だからまた時代が変われば、衣替えをしながら喫茶店、カフェ、茶屋の文化は続いていくんだろうなーと、ちょっと安心した。

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