2011年12月16日金曜日

タイの皆既月食

先週末、皆既月食がありましたね。土曜日の夜11時頃という、日曜日が休日の人にとっては絶好のタイミング。私も日曜日が休みの口なのだけど、最近は9時〜10時には寝てしまう習慣から抜け出せず、11時にはぐっすり寝てしまった。

今から22〜23年前、私はタイ国南部の島、パンガン島にいた。今はかなり観光地化されている噂を聞くが、当時は、船着き場のある村以外は、電気もなく夜など必要なときは発電機で発電、だからケロシンのランプも大活躍していた。そんなところだから、夜は暗い。しかし、満月の夜は、夜道を歩くのに懐中電灯が必要ないほど明るかった。

そのパンガン島で、皆既月食を見た。街灯もないところだけど、それでもなるべく灯りのない場所がいいだろうと、仲間とともに夜道を30分ほど歩いて、人気のない海辺の高台へ行ってスタンバった。夜空は快晴。皆既月食のショウを満喫した。

ところで、このタイ国では、皆既月食の間に行うちょっと不思議な慣習がある。まず、皆既月食は「不吉なこと」というのが前提だ。月食が始まり2時間ほどで終わるまで、人々は両手に持った石をカチカチ鳴らす。なぜ石を鳴らすかというと、そうすると時間が早く進む、つまり不吉な時間が早く終わる、というのだ。

その皆既月食の間、私は人気のないところへ行ってしまったので、非常に残念ながら、このカチカチの音は聞けなかった。この話は、後でフランス人の旅行者から聞いたもの。

先にも書いたが、満月の夜は本当に明るい。街灯が当たり前の場所に住んでるとつい忘れがちだけど、それは夜の太陽と言えなくもないぐらい明るい。野球は出来なくてもサッカーぐらいはなんとか出来るんじゃなかろうか。昔から多くのお祭りが満月に行われるのも、この「明るさ」も理由のひとつだったんじゃなかろうか。月明かりに従った暮らしをしている人たちにとって、雲もないのに、それが突然暗くなるのが皆既月食だと思うと、それを「不吉なこと」という感覚になるもの分かるような気がする。

皆既月食ショウを見終えた私たち数人は、再び満月に照らされた、明るい山道を30分ほど歩いて、自分たちのバンガローへ帰った。

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