2011年9月9日金曜日

果実の中ではマンゴスチン


井上陽水の昔の曲に「カーネーション」というのがある。

カーネーション
お花の中ではカーネーション
一番好きな花

私は鼻歌で、この曲の節に合わせて、こう歌う。

マンゴスチン
果実の中ではマンゴスチン
一番好きなもの

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

私には持病がある。膀胱炎及び尿道結石。普段は何でもないが、極端に身体が疲れたりすると、下っ腹の膀胱あたりがとても不快なムズムズ感をおぼえる。そしてそれがさらに悪化すると尿道結石に発展する。これまで尿道結石までいってしまったことが二度あった。

そんな私が昔アジアを旅していた頃、洪水のバングラディッシュで無理をして、膀胱炎が発症してしまった。ダッカから何とかバンコクまで飛んで、1ヶ月ほど病院通いした。1988年のこと。通院は週に一度ほどだったので、ほとんどの日は、慣れないバンコクの町をひたすら散歩していた。その散歩コースにチャイナタウンがあった。他でもない。そこには目当ての屋台の果物屋があったからだった。

手押しの大八車の上にはマンゴスチンとランブータンの大きな山が2つ。商品はこの2つだけ。どっちもキロ15バーツだったことを今でも憶えている。当時のレートで、75円ぐらいか。それが初めて食べたマンゴスチンとランブータンだった。何とうまいフルーツがあるのかと3週間の間、この2つの果物を毎日むさぼり食った。マンゴスチンとランブータン、合わせて2キロ買って、寝泊まりしていたゲストハウスの冷蔵庫に入れた。そして入れた直後、前日に買って冷やしておいたマンゴスチンとランブータンを食すのだ。この2つの果物は冷えてた方が断然うまい。2キロはペロッと食べてしまった。これぞ至福の時だった。体調が悪いことで、フラストレーションがたまってたこともあったろう。また無意識にも膀胱炎の身にいいものだったのかも知れない。3週間の間、勤め仕事のように毎日チャイナタウンまで散歩をし、この2種類の果物を買い続け、食べ続けた。一日散歩を怠ると、次の日は冷えたのが食えないことになる。それが耐えられなかった。今思えば、もっと近くでも売ってたろうにと思うけど・・・・。

最初の1週間ぐらいは、マンゴスチンとランブータンを半々買っていたが、日が進むにつれ、徐々にマンゴスチンの割合が高くなっていった。マンゴスチンの上品な甘味とその甘味をやさしく包むような酸味の虜になったのだ。そしてその3週間の後半は、マンゴスチンが1.5キロ、ランブータンが0.5キロぐらいになっていた。食べ方もメインはマンゴスチンで、箸休め的にときどきランブータンを間にはさむようになっていた。

こうして「果物の虜」になる話は、ドリアンでしばしばあるが、私の場合、マンゴスチンだった。ドリアン様も好きだけど、マンゴスチン様の比ではない。

ところで、先月ベトナムへ行った際、木になってるマンゴスチン様に初めてお目にかかれた。よくマンゴスチンを知らない日本の人へのその外見の説明で、「柿みたいだけど、色が濃い紫色」というのがあるが、その葉っぱもやや柿の葉にも似ていた。

また、今年のベトナムは、マンゴスチンの当たり年だったらしい。例年より安く、小さめのマンゴスチンをたくさん食すことが出来た。小さいヤツは、中の種がないのが多いので食べやすく、味もいい。

もう今は、さすがにキロ単位で食べることはなくなったが、今でも「一番好きな果物は?」と聞かれると、迷わず「マンゴスチン」と答える。「一番好きな食べ物は?」と聞かれても答えられないんだけど・・・・。

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