2011年6月16日木曜日

ベトナム・コーヒーの流儀【基本編】

きょうは、ベトナムのコーヒーのお話。
最初に、日本がコーヒーの生豆を輸入している相手国、ベスト5は以下のとおりだ。

1.ブラジル   96,406トン
2.コロンビア  84,809トン
3.ベトナム   55,055トン
4.インドネシア 52,030トン
5.グアテマラ  34,826トン
※全日本コーヒー協会調べ(2008年)

ジャーン! ベトナムが「第3位」ってちょっとビックリでしょ? あまり知られてないけど、私たちはベトナム産のコーヒーを実は結構飲んでるのだ。日本の喫茶店で、「ベトナム産コーヒー」とはほとんど聞かないけど、缶コーヒー、インスタントコーヒー、またコーヒー味のお菓子などなどを介して私たちは飲んでいるんです。

そのベトナムは、先のエントリ(ベトナムとパチンコ屋の静寂)にも書いたとおり、町中cafeだらけで、かなり田舎へ行っても必ずある。このブログのタイトルが“natural salt cafe”なのも、実は、私の仕事場ベトナムには、「cafe文化」と呼べるぐらいのcafeがあるからなのだ。そしてその本国ベトナムのcafeでコーヒーを注文したり飲むには、それなりの流儀がある。きょうはそのお話し。

まずは上の写真の説明から。これは私がプロデュースしている「カンホアの塩」の生産者のところでの、朝食のテーブル風景です。手前はバゲットのサンドイッチ(バインミー)。写真中央にアルミ製のコーヒー・フィルターがあって、下のグラスにコーヒーが落ちてる。コーヒーが全部落ちたら、フィルターの上蓋だけを裏返ししてテーブルに置き、その上にフィルター本体を移して、余ったコーヒーの汁がテーブルに垂れるのを防ぐ。上蓋に3つのポッチがあるのが分かります? それは裏返したときの足になる。コーヒーは、通常、かなり濃いのが少量(この写真のコーヒーもおおかた全部落ちている状態)。つまり、かなり深煎りでかなり細かく挽かれた粉に少量のお湯が注がれて出来ている。エスプレッソのようだが、圧力はかかっておらず、焙煎時、香りや味を若干つけているものが多い。それはエスプレッソとは違い、何ともベトナム・コーヒーなのだ。また、「薄めに」なんて頼む人はいなくて、少数派の薄め好みの人は、氷を入れたり、別にもらった小さなポットのお湯を足して飲んだりしている。

右側のアルミ製のポットは、ティーポット。小さな茶碗にお茶(ジャスミン茶)が注がれている。10年前はどこのcafeに入っても、コーヒーを注文すると一緒にこのお茶が(無料で)出てきたが、最近の大きな町では別料金のcafeが増えちゃいましたー。そして左には氷があって、コーヒーのグラスに入れれば、そのままアイス・コーヒーになるようサーブされている。

では、コーヒーの注文方法に入ります。
唐突ですが、このコーヒーは、ベトナム語の順番で「コーヒー・ブラック・ホット」。

一昔前の日本の喫茶店では、「ホット」と一言で注文が済むこともあるが、ベトナムではそうはいかない。それはcafeであろうが、誰かの家であろうが、注文の仕方にも共通した流儀がある。

ベトナム語の発音は難しいので、ここではだいたいの発音をカタカナで表します。(ベトナムのcafeで注文するシチュエーションだったら、このカタカナで何とか通じると思います)

まず、コーヒーには、通常、

・カフェ・デン(コーヒー・ブラック)
・カフェ・スア(コーヒー・ミルク)

の2種類がある。
「デン」は「黒」の意。「スア」は「ミルク」の意。「ミルク」と言っても、ベトナムでコーヒーに入れるミルクは通常甘〜いコンデンスミルクだ。

これだけ知ってれば、不自由なさそうだが、まだ先がある。私が最初にベトナムを訪れたとき、cafeに座って、「カフェ・デン」といくら言っても、しつこくその後を聞かれたことを今でも思い出す。

その後に「ノン」か「ダー」をつけないと、注文にはならない。「ノン」は「熱い(ホット)」の意。「ダー」は「アイス(氷)」の意。だから、「カフェ・デン」と言っただけでは、その後「ノンなのかダーなのか?」と必ず聞かれる。上の写真のとき、実は「カフェ・デン・ノン」(コーヒー・ブラック・ホット)を頼んだ。ただ、ここは知り合いのところなので、「もし、途中でアイスにしたければどうぞ」という親切な気持ちから、氷もサーブされている、という訳。

ここらでまとめてみましょう。つまりベトナムでコーヒーを注文するとき、通常、基本は以下の4種類になる。

1.カフェ・デン・ノン(コーヒー・ブラック・ホット)
2.カフェ・デン・ダー(コーヒー・ブラック・アイス)
3.カフェ・スア・ノン(コーヒー・ミルク・ホット)
4.カフェ・スア・ダー(コーヒー・ミルク・アイス)

単語としては、「カフェ」と4つの言葉の組み合わせだけ。そして覚えるのはまずは自分の好みの1パターンだけでいい。実際、ベトナムの9割以上の人たちは、この4つのいずれかでコーヒーを注文する。

・・・・と、ここまでが【基本編】。
次に【応用編】もと思ってます。【応用編】と言っても、それは単に私の場合ということだけど。「こんな話、役に立つかな〜」。「まっ、いっかー」。

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