2010年11月2日火曜日

白抜きタンメン 【その1】


「白(シロ)抜き」・・・・分かりますか?

ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、30年以上前には通じたの中華料理屋さん及びラーメン屋さんでの隠語です。私は東京育ちなので、もしかすると東京地方限定だったかも知れません。「白」は化学調味料を意味します。その色が真っ白なので、そのまま「白(シロ)」。だから「白抜き」で「化学調味料抜き」となります。

上の写真のタンメンは「白抜き」で注文したもの(写真で分かる訳ねぇ〜よ〜)。まぁ最近は、「無化調(化学調味料ナシ)」という言葉がだいぶ一般化してきてるけど、昔は、「白抜き」って言うとだいたい通じたものなんです。「無化調」という言葉が生まれるずっと前にも、化学調味料が苦手な人が少なからずいた、とも言えます。

それで「白抜きタンメン」ですが、「白抜き」が「タンメン」というところにも実は意味があります。例えば、醤油味のラーメンに「白抜き」は御法度です。通常、醤油味のラーメンのスープは、あらかじめ仕込んである醤油味の濃いタレを、注文を受けてから熱いガラスープなどで割ります。そのタレはあらかじめ化学調味料も加えて仕込んであるため、「白抜き」は無理なのです。味噌ラーメンも同様なことが多いです。

しかし、通常タンメンは、注文があってから、野菜を軽く炒め、ガラスープなどを加えた後、少し煮ながら、(化学調味料も含めた)塩味の味つけをします。その味つけの工程で化学調味料を加えなければいいのですから、タンメンは通常、「白抜き」可能な場合が多いのです。もちろん、タンメンのスープのタレもあらかじめ仕込んでいるような店ではダメだけど、そもそもタンメンのおいしさは、その少し煮ている間にスープに染み渡る野菜の味。野菜のシャキシャキ感を残しつつ野菜の味をスープに染み渡らせる。そしてその味を活かすため、味つけはシンプルに塩。このへんがタンメンの妙なので、タンメンのスープのタレは前もって仕込まれないのが普通です。

とは言え、現実的に、初めて入る店で、「白抜き」とはなかなか言えないもの。また言っても最近は通じないことが多いし。「白抜き」と言葉を発して通じなかった場合、店の人に説明しなくてはいけません。それが礼儀でしょう。ただ特に他のお客さんの聞こえるところでその説明はしにくい。最近はかなり少なくなってきたと思うけど、ほとんどの中華料理屋、ラーメン屋さんでは化学調味料が使われていることを知らない人がいるからです。もしそういう人が聞こえるところでその説明をするということは、「この店では化学調味料を使っているんですよ」と、知らない人にわざわざ説明することになるからね。それはお店にとって愉快なことではないだろうと思う。

ちょっと話が長くなってきそうなので、きょうはここまで。写真の白抜きタンメンは、当初この店の人は「白抜き」を知らなかったけど、なんとかお願いできるようになってのものです。次のエントリでは、そのへん詳しくレポートしまーす。

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