2010年10月13日水曜日

遺伝子組み換え作物(GM作物)


一昨日から、COP10/MOP5という国連の国際会議が、名古屋にて開かれている。最近は、マスコミでもしばしば出てくるのでご存じの方も多い・・・・と思いきや、うちのカミさんに「コップジュウとかモップゴとか知ってる?」ときいたら「知らない」と言う。どちらも環境問題の会議だけど、それだけじゃ内容が分からない。とても重要な会議と言われちゃぁいるが、われわれ一般人に具体的なことは分かりにくいのかも知れない。

とは言え、私は1年ほど前、「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク」というグループに入会した。入会ったって、1万円会費を払っただけで、私自身は特別な活動はしていない。でも、このグループの意義や活動に賛同し、入会した。そのお陰で、私はこの「生物多様性」ということを一歩踏み込んで考える機会を得た。

食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク MOP5市民ネット

COP10支援実行委員会 公式ウェブサイト

でまぁ、分かりにくいから放っておく、というのではなくて、いろいろある議題の中から、その中心的議題でもあるGM作物(遺伝子組み換え作物)の問題について書いてみようと思う。これはMOP5の方の議題にあたる。

だけど、私は、GM作物の問題について特別詳しくない。ただ私レベルの「詳しくない」人はきっとたくさんいるように思う。そして何よりこの問題は私たちの食生活に大きく関係していることぐらいは分かる。だからそのぐらいの私がそれなりに考えることにも意味があるのではないかと思うのです。ちなみにここに出てくる情報は、主に最近の東京新聞からの拾い読みです。

まず、GM作物についてざっと少し。

バイオテクノロジーで、遺伝子を組み換えられて作られた、自然界の交配では生まれてこない作物(主に農作物)。その目的は、除草剤や病害虫への耐性など。例えば、そのGM作物専用の除草剤・農薬を撒くと、そのGM作物以外の植物はすっかり枯れて虫も全滅する。その環境下、そのGM作物だけは生き続けるから、農業が簡単になり、生産性が向上する。また、ひとつの種からの収量も増える種子を開発するから、全体的に作付面積比で収穫量を大幅アップでき、安価な農作物を生産できる、というものだ。

納豆とか買うと、表示ラベルに「大豆(遺伝子組み換えではない)」とか書いてありますね。反対に「大豆(遺伝子組み換え)」というのは見たことがない。それは「遺伝子組み換え」の表示義務がないから。日本で流通している食用油の大半は遺伝子組み換えのナタネ、大豆で作られているから、すでに私たちは食べ始めています。ただ日本ではまだ研究段階で国内産のGM作物はない(サントリーの青いバラだけ)。だからその食用油の原料になっているGM作物は全て輸入です。

かなりおおまかだけど、賛成派と反対派の意見は以下のとおりだと思う。

【賛成派の意見】
今後の人口増加にともなう食料事情からして、GM作物は必要。天候不順また異常気象にもより適応でき、安定した収穫量が期待できる。しかも安い。

【反対派の意見】
ナタネなどのGM作物はいくら管理しても、輸送中にこぼれ落ちるなどして、広がる。現在、まだその安全性は確認されていない。このまま放置すれば、生態系など自然環境に重大な問題を引き起こす可能性もある。

ここでの大きな論点は、生態系への影響も含む「危険性/安全性」だろう。その点について、GM作物の開発企業(GM作物の種と除草剤・農薬のセットの開発)である、アメリカの多国籍企業・モンサント社の日本法人は、「輸入されているGM作物は農水省にも認められており、日本の生態系にも影響を与えません」として「実害」は「起きていない」と主張してます。また日本の農水省は、2006年〜2008年の調査結果を示し、「こぼれ落ちたナタネは自生しても広がらず、環境への影響はない」と雑種の発生を否定しています。

一方、反対派は、遺伝子組み換えが行われ始めて、まだ30〜40年ぐらいで、大規模に広がってきたのは、ここ最近のことなんだから、そんな「大丈夫」は信用できない。だからもっと慎重に検討すべきだ、という見解である。

ここまで主にGM作物の是非論を書いてきましたが、今回のCOP10/MOP5という会議での論点はと言うと、その是非論ではありません。GM作物が悪影響を与えた場合の賠償制度の国際ルール(責任と救済)を決められるかどうか。つまり、なんかヤバイことが起こった場合、GM作物輸出国は輸入国に対して賠償金を払ったり現状復帰を保証する制度を作れるかどうか、です。また、その制度でもって抑止力とするという感じもあるのかな。何しろもうサイコロは振られているからね。

ちなみにGM作物の主な生産国は(作付面積の広い順に)、

1.アメリカ
2.ブラジル
3.アルゼンチン
4.インド
5.カナダ
6.中国
7.南アフリカ
(アグリバイオ事業団調べ。2009年)

となっています。第一位のアメリカは、GM作物の「母国」なので、ダントツです。

で、私ですが、GM作物に対しては反対派です。日本の与党のマニュフェストには、今後力を入れていく産業としてバイオテクノロジー(GM作物とまでは言及してるかは不明)があげられてますが、反対派の私としては、決め手に欠いた政党の苦し紛れの「バイオテクノロジー」のように聞こえてしまって、ちょっと不安です。

長くなってしまったので、きょうはこれでおしまい。「詳しくない」とか言いながら、いろいろ書いてるじゃねぇ〜か、と言われそうですが、最近の新聞(一般紙)記事の範囲です。ただそれを読んでて感じるのは、どーもモヤモヤしたものが晴れないこと。そんなことを含め、次のエントリでこの続きを書きたいと思っています。では。

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