2007年10月22日月曜日

枝豆の炒め物


先週、お客さんと商談をしに、井の頭公園(東京・吉祥寺)の中にあるcafeに行った。公園の緑に囲まれた、いわゆるオープンカフェの佇まい。気持ちのいいスペースなので、ときどき訪れる。そろそろ肌寒くなるこの季節には、膝掛け用の毛布が椅子にかかっているのも嬉しい。料理はアジア系エスニック料理で、アジアのビールもいっぱいある。このときは、ランチのビビンバをメインに注文したが、サイドオーダーで頼んだ「枝豆のニンニク・唐辛子炒め」がおもしろかった。ちょっと季節はずれの枝豆だけど、ビールのアテにと思って注文してみた。それは写真のとおり、殻付きの枝豆が、ニンニクと鷹の爪を抽出させたオイルで炒めてある。ちょっと空芯菜の炒め物風で、オイルは(たぶん)サラダオイル、そして塩味はナンプラーだった。私は、最初のひとつまみを箸で取って一旦口にくわえ、その後普通の枝豆を食べるように指で豆を押し出して食べた。当然、指にオイルが付く。それを見ていた、商談のお相手さんは「いや〜、昔女房が枝豆をこんな風に食卓に出したことがあって、そのとき手が汚れるからこれはあまりよくない、というようなこと言ったんですがね。こうして箸でつまんだまま口に入れても、殻の中の豆を十分食べられますね。ん〜、女房には悪いことを言ってしまった」と、不自由なく箸でパクパク食べ始めた。それを見て私も真似てみる。なるほど、指なんか使わなくても口の圧力で中の豆を簡単に食べられる。ただ、何となく「枝豆は手で食べるもの」という先入観というか習慣があって、指につくオイルを気にする前に、つい指で豆を押し出してしまっていたようだ。ほんのちょっとしたことけど、何しろ箸でこの枝豆を食べ続け、何の問題もない。

そして問題がない以上に、この枝豆料理のおもしろさに気がついた。殻の中の豆自体にはうっすらとした塩味しかしない。たぶん一旦塩ゆでされたものだろう。そして、料理の味は少しケバケバした殻に染みこんでいる。だから、殻ごとの枝豆を口に入れて、口の中の圧力で豆を押し出そうとすると、殻に染みこんだ汁をチュウーチューすることになり、その味が口の中に広がる。そして、そこにうっすらとした塩味の豆が加わって、全部が一緒になって噛んで食べる。この「一粒で二度おいしい」感覚は楽しかった。ナンプラーのクセもピッタリマッチ。会計の際、お店の人に「これってどこかの(国の)料理なんですか?」と聞いたら、「いえいえ、うちのオリジナルです」と笑顔で答えてくれた。もう枝豆の季節は終わりだけど、来年にはやってみようと思う。食べきれなかった冷蔵庫の枝豆の再生にもなるし。でも、この料理のときは、出来たら枝豆を硬めに茹でてオカ上げしておいて、さっと炒めてちょうどよくなるようにした方がいいだろうなぁ。クミンやカレー粉でもイケルだろうなぁ。帰りの電車の中でいろいろ考えてしまった。

2007年10月1日月曜日

鮎づくし



東京は1週間前までは暑かったが、昨日はそぼ降る雨でやや肌寒いぐらい。もうすっかり秋な感じの中、「鮎づくし」を食べに武蔵五日市駅近くの「川波」という料理屋さんへ向かった。「鮎づくし」は、この夏に行こう行こうと思ってたものだったが、ついに夏には間に合わず。しかし、天然鮎はギリギリセーフで、何とか間に合った。このお店は、秋川の河原沿いで、お店の裏口の木戸を開けると、すぐそこが河原。「朝、釣り人が自分で食べきれない分を売っていく」という女将の話だ。ちなみに、今年6月21日付けのこのブログに出てくる川魚料理屋さんとはまた別のお店です。悪しからず。

さて、仕事がら塩のことが気になるが、テーブルの上にはJTの食卓塩。塩焼きやうるかの塩もイマイチで少しガッカリ。でも、それを除けば、料理はどれもおいしかった。うるかは(塩はともかくとして)フレッシュな内臓の苦味とうま味。一番の感動は、お造りの「鮎背ごし造り」だった(小さい方の写真)。その朝捕れた鮎の内臓を取り除き(内臓はうるかにまわったであろう)、身を厚さ2mm程度に輪切りにスライスされたもの。ホントについさっきまで川で泳いでいたようなワイルドな味にビックリ。天然鮎の香り・クセ・食感がたまらない。食べてると熊かなんかになったような気分にもなった、いやなれた。この「鮎背ごし造り」、料理としては、酢みそで食すようになってたが、塩でおいしい。また同席した人は「醤油もイケル」と言っていた。おそらくお店としては、そのワイルド感を和らげて食べやすいように酢みそ、ってことだろうけど、鮎が好きな人には、塩または醤油の方がおいしいかも知れない。また、不思議に感じたのは、揚げ物に出てきた鮎の天ぷら。背開きになった稚鮎の開いたところにマッシュポテトが塗りつけられていて天ぷらになってる。ジャガイモと鮎の意外な出会い。ちょっと洋風に感じた不思議な味だった。このお店、「夏は鮎、冬は猪料理」が売り。猪は「朝、猟師が自分で食べきれない・・・・」とはいかないだろうが、楽しみだ。霧雨が降り続く中、夏を惜しんで静かな気分で帰路についた。